謎解きの哲学

謎解きの哲学

脱出ゲームでは数々の謎解きに挑戦します。謎の形式は、数学的な問題だったり、謎なぞだったり、または観察力や瞬発力を問われるものだったり、様々です。謎解きクリエイターなら誰しもが独自の哲学を持って謎解き問題をデザインしているだろうと思います。Studio Escapeのクリエイターチームも、それぞれが異なるアイデアや制作技術、個々の趣向を持ち寄って一つひとつの脱出ゲームを作り上げていますが、ことデザインに関しては全員がほぼ同じ考えを持っています。

今回は、私たちの謎解きデザインに対する考えをいくつか(順不同)ご紹介します。

1、ゴールは明確に

何がどうなったらゴールなのか、何を求められているのかがプレイヤーに明確に伝わるようにデザインしています。謎の答えがすぐに分かるように、という事でははありせん。謎を解くためにあれこれ試行錯誤する事は楽しいですよね。でも、何をするべきなのかもさっぱり分からないとなると、嫌になってしまいかねません。

2、自然と使えるものを

ゲーム中に、ある猛毒に効く解毒剤を見つけるというミッションを与えられたとしましょう。プレイヤーは、試験管や薬瓶に入った液体など、実験に使うようなものが出てくるなと予測できます。プレイヤーたちが触れるものが本物さながらに見えるのはもちろん、それらの使い方や扱い方も、現実味のある、自然にできるものであるべきだと考えます。 

3、後から納得できる

問題が難しすぎて、プレイヤーが途中でギブアップしたとしましょう。答えを聞いたプレイヤーが「あー本当だ!どうして気づかなかったんだろう!」となるのが私たち謎解きです。「えぇ?そんなの分かるわけないよ!」と思われるようならば、それは私たちのやり方が良くなかったという事です。

 4、すべての行程に楽しさを

宇宙船からの脱出、中世時代の監獄からの脱出、どんなにワクワクするセッティングを用意しても、謎を解くのにプレイヤーが20個以上も何かを見つけないといけないとなると、面白くないですよね。デザインとして怠惰としか言えませんし、それではプレイヤーも飽きてしまいます。脱出ゲームは、ただ謎を解いてその部屋から脱出するだけではなく、日常からの脱出でもあると考えます。私たちのゲームで、プレイヤーが楽しい非日常体験ができることを願っています。

5、チームワークが必須

Studio Escapeでは、チーム一丸となって謎解きに取り組み、出来た!という満足感をチーム全員で感じてほしいと思っています。それが出来るように、例えば2人がかりでないと動かせない機械があったり、もしくは2部屋に分かれて情報収集をしないと解けない問題があったりと、複数人で取り組んだ方がやりやすく、チームワークがなければ物理的に解くことが不可能な問題も用意しています。

 

自分たちの謎解きデザインを、何年もかけて見直してきました。そして前述の全てを、全てのゲーム、全ての謎解きに落とし込むようにしています。完成させたゲームに誰かが挑戦している様子を初めて見る時はいつもドキドキします。どんな反応が見られるか、それは予想外だったり、びっくりするような反応だったり。毎回共通しているのは、それがとても興味深いということ、そして、次の制作に向けて、より良いゲームが作れるようなヒントが得られるということです。